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はじめに ..................................
“高齢化”という言葉を耳にして思い浮かぶ実感の一つに、
65才以上の男女がその対象であるということに加え、
“高齢化率”が必ずといって良いほど頭を過るのはなぜだろうか。
“高齢化社会”が加速することの一つに、“高齢化率”が急速に
そのポイントを着実に高めていることから、
私達は、“高齢化率”=“高齢者人口の増加”を
単純に受け止めてしまっているようだ。
著者がこれまで行った各種の介護保険に絡む講演会でも、
“高齢化率”が高い地域にのみ“高齢者”が
多く存在していると錯覚していた方々をしばしば散見した。
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2000年では、“高齢化率”の低い東京都、大阪府、神奈川県、北海道、愛知県が“高齢者”の
絶対多数上位5(いずれも100万人規模)にあって、合計で621万人(全国比28.9%)もいて、
2004年には、733万人(全国比30.2%)となり、更に、埼玉県、兵庫県が100万人の大台を突破するという、
人口絶対多数地域の“高齢化率”が、“高齢者”の数と共に爆発的に高まることが予測されている。
人類有史以来、未曾有の高齢社会に突き進んで行くという、わが国の市場環境の認識が、本書第1のポイントである。
第2のポイントは、人口減少が近未来的な予測出来事ではなく、着実に、カウントダウに入っていることの認識が必要である。
2004年には、全47都道府県の半数に及ぶ24県が人口減少を予測している。
このことから保険者である市町村は、保険料の賦課徴収と給付のバランス(第1号被保険者と第2号被保険者等)についての新たな議論を重ねる必要がある。
第3のポイントは、介護保険制度がはじまって、多くの事業者は「海図のない船旅」に出てしまったようだと概括できることだ。
竣工前の造船所内のドックでは、「大きい船は、いいことだ」とばかりに、
陣取り合戦にしのぎを削る覇権主義的な経営戦略が謳歌したものの、
その実は、必ずしも全てに渡って全国一律一様と行かなかったということだ。
介護保険施行にあたっては、当該業界を認識理解するためには新しい物差しで見つめない限り、
民間事業者には活路が見出しにくいものと思っている。
つまり、「彼も動くから、われも動く」といった群集心理に似た行動は、
国制度とう「錦の御旗」を「海図」としてとらえすぎたために、
全国平均値が都道府県市町村の津々浦々にまで轟き渡ったものの、
その実、高齢者の平均的な介護生活の実像を掴み損ねたままに事業開始に及んだことが
「齟齬(そご)」を生み、事業者にとってはみるみるうちに「轍(わだち)」となって立ちふさがり、思わぬ参入障壁と映ってしまったようだ。
措置から契約への移行は、「福祉民活!」とも叫ばれ、見えざる市場開放に酔った感が
事業者間には少なからずあったものの、真の市場開放の第一歩を「利用者の胸襟を開く」
ことからはじめない限り、利用ニーズの本質に迫まることは難しい。
ここは、「既成概念の打破」という経営コンサルタント・マインドを駆使し、
従来の「本」や「刊行物」での表現方法に対し、慎ましやかな挑戦を本書で試みた。
例えば、都道府県は、「北海道〜沖縄」の順序でなくても良いではないか?
例えば、本そのものや文章の体裁にこだわらず、民力のような基本データベースがふんだんに開示されたものであっても良いのではないか?
例えば、「福祉マップ」があるのだから、「介護×××ランキング」があっても良いのではないか?
――つまり、「形容詞」から「数詞」への転換である。
その結果、数字ばかりとなって、「介護保険の本もここまできたか!」と、
落胆された方が数多くいたとしてもいたしかたない。
「目から鱗が落ちたような気がする」との実感をもって頂けた方が100人いれば本望である、という気持ちで本書に取り組んだ次第であるからだ。
2000年10月は、「トライ・アンド・エラー」ではじまった介護保険制度施行半年という重要な節目である。
単に、『第1号被保険者の皆様から介護保険料を徴収させていただきます』という周知だけでは済まされない。
国、都道府県、市町村、事業者、利用者などの多くが、それぞれの立場で経験したことを相互に確認・検証を踏まえる時期である。
まして、2001年の新世紀初年は、“高齢者”自身が“高齢社会”とどのように付き合ってゆくのかが問われる
重要な結節点であると思いで、第1号被保険者の介護保険料徴収が開始される時期に焦点を定め、一石を投じてみた次第である。
なお、介護保険制度施行前の準備段階から係りが持てた者の一人として、
「介護保険版民力」が必要であるとを常々痛感し『介護事業の羅針盤』は、遥か1年以上も前に命名。
構成は、都道府県が作成した介護保険事業支援計画書、市区町村が作成した介護保険事業計画書、
介護保険料(基準月額)、要介護申請と要介護認定区分の内訳(2000年3月31日現在)の資料収集を経たことで、成り立っている。
しかし、構想とは裏腹に、膨大な時間を惜しみなく費やすことなくしては不可能であり、
「執念」の二文字に徹した結果、発刊にこぎつけるに至った。
また、シルバー新報(環境新聞社)編集部川名佐貴子氏との出会いなくして本書の刊行は無く、
快く出版を引き受けて下さり、深く感謝の言葉を捧げたい。
2000年8月盛夏 早川浩士(経営コンサルタント) |
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